2005年11月 東京都渋谷区。 夜10時をまわったころ男3人は、
いつものように流行のおしゃれなカフェにいた。
こういちは 大学のラグビー部の鞄を持ち、 中には汚れた運動着と教科書。
かくむは おしゃれな革の鞄を持ち、 中には大量の本と書きかけの論文。
みきおは かっちりとしたビジネスバッグを持ち、中には会社のパソコンとたくさんの書類が入っていた。
彼らが話すことは、 決まっていた。
「これからの時代 はたして 何が面白いのか」
彼らは、あらゆる業界の あらゆる話題をお互いに持ち寄って、
週に2回も3回も会って話すのが習慣になっていた。
政治の話、 映画の話、 デザインの話、 宇宙の話、 スポーツの話、 ITの話、 女の話、 女の話、、、
彼らには共通点があった。
それは 人生に迷っていたことだった。
こういちは 大学生だったが、年は25歳。 彼には熱い思いが宿っていた。
誰よりも努力家で 妥協を許さない。
しかし、彼は焦っていた。
「同年代はすでに働き始めている。 そんな中 大部分の情熱をラグビーに注いでいていいのだろうか。」
かくむは社会人まで あと少し。 25歳。
論文を書いて提出をすれば、社会人までのカウントダウンをするだけだ。
しかし、彼は悩んでいた。
「本当にやりたいことでは無いのではないか。 自分にとって この就職は逃げではないのか。」
みきおは社会人2年目。25歳。大きな仕事をさせてもらい、着実に社会人の階段を上っていく。
しかし、彼は絶望していた。
「このままこの会社にいて描く未来は、自分にとってワクワクするものではない。なんとか打開したい。」
誰もが 抱く悩み。
彼らは何度と 話し合った。
こんなこといいな! できたらいいな!
あんな夢 こんな夢 いっぱいあった。
しかし、その話し合いから生まれるものは、
ただ迷いの森に引きずり込む妖精の言霊に過ぎない。
つまりただ満足感だけが得られた気になり、人生の現状は何も変わらない。
そんななか 誰かが言い出した。
「これだけ いつも一緒にいるんなら、 一緒に住んだほうが早いんじゃない?」