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ドアを開けて キッチンの奥に見えるリビングには 本当にモノが少ない。
ソファと テーブルと テレビと たくさんの写真。
「あの写真は〜〜のときで、 それで、 あの写真は〜〜で、、、」
説明をされても 全くついていけず。 へぇー と答えるのが精一杯。
彼女らは 中学・高校からの同級生。 2年前にシェアをはじめた。
物件は知り合いに紹介してもらった。 家賃は13.5万円。 1人あたり4.5万円。
「ちょうど入居するときに、 他の男性3人グループと この物件を争ったんです。
そのときは もう大家さんにひたすらアピールでした。
なんて素敵な物件なの!こんな家に住めたらいいなー!あーこれ超かわいい!って、
ひたすらアピール笑。
男3人は黙ってしまい。最終的に勝ち取りました。」
物件は 築50年のメゾネットタイプのアパート。 アパートなのに2階建てになっている。
「入居したときに、この階段の部分が石綿がむき出しになっていて。
不動産屋さんに聞いたんです。 これってアスベストじゃないんですか、って。
そうしたら、 築25年くらいの物件だったらアスベストの可能性もありますが、
50年前にアスベストはまだ世の中になかったので、 大丈夫です、 って言われました。笑」
しかし、 家の内部は築50年とは思えないほど きれいな内装だ。
そして、作りはまるで 建築家ル・コルビジェによる "ユニテ" のようなメゾネットマンション。
ドアノブから郵便ポストといった細部までしっかりとデザインされており、
築50年の古さが、レトロ感、味、かっこよさへと昇華して、
隅から隅まで愛でたくなるような愛着のわく部屋。
ヨーロッパ風の物件だけあって 内開きのドアを開けると キッチンがあり 奥にリビング、
そして下の階に続く階段がある。
降りると トイレ、風呂、それぞれの部屋に分かれている。
「いつもこの階段に座って 歯を磨くんです。」
と 階段に座ってみせてくれた姿が妙に印象的だった。
それは、 みんなの部屋の真ん中にある階段にいれば 誰かが出てくるんじゃないか、
というひそかな期待をする夜の 日常の一部が垣間見られたからだろう。
彼女らの日常は ほとんど仕事に埋まっている。
「だいたいみんな 12時よりも前に帰ってくることがないんです。
ご飯も いちおう行きつけの店はあるけど、 一緒に食べることはほとんどないです。
そもそも あんまり平日は顔を合わせることはないし。
たまにリビングに誰かいると、 嬉しくてひたすらしゃべりまくってます」
たしかに、こっそり開けた冷蔵庫には、ビールとジュース、冷凍食品と少々の生ものしか見当たらなかった。
そんなに仕事して、 嫌になったりしないのだろうか。
「仕事が終わって家に帰ってくると、 たまに2人のうちのどっちかが、
ソファで 死んだように寝てたりするんです。 そのときに、 この人も疲れてる、
自分よりも疲れてる、 まだまだいけるわ、 と逆に勇気付けられたりするんです。
頑張ろうって思うんです。」
嬉しいような、 嬉しくないような。。
「土日も あんまり一緒にいることはないです。
たまに休日の昼間とか一緒になると ご飯とか食べに行きますけど。
でも、前もって予定してでかけることは ほとんど無いです。部屋からもぞもぞと出てきて。
ちょっと会話して。相手の様子を伺ってから、もしかして暇?って聞くんです。
妙なプライドがあるんですよね笑。」
彼女らは いつ一緒にいるのか。。 ほんとに仲良しなのか。。
リビングにも それぞれの部屋にも たくさんの写真が飾られてある。
サーフィンをしている写真、 どアップの写真、 大はしゃぎの写真。
その中で 一つひときわ目に付く写真がある。
写真館で撮ったと思われる豪華な枠に入っており、女性5人がきれいな着物を着て写っている。
しかし、
なぜか、
真ん中の女性は 頭にショートケーキが乗っかっている。。
「これは 誕生日の写真です。
前に一緒に住んでた子を含め 私たち4人って、
高校のころからみんなの誕生日のお祝いはものすごく凝るんです。」
なぜ 凝った結果、 写真館でショートケーキなんだろう。。
「これはまだ楽なほうですよ。 今までいろんなことをしました。
突然、早朝にみんなが部屋に入ってきて、 目隠しとヘッドホンをつけさせられるんです。
それでタクシーで拉致られる。 なんかタイツと靴下に着替えさせられて、
目隠しととったら ディズニーランドの中で 目の前にミッキーマウスがいるんですよ。
あとで聞いたんですけど、 係員の人が 特別入り口から入れてくれたらしいです。」
「ほかにも、 とても思い出に残っているのは、朝起きたら 誰もいなくて、
一つの指令がおいてあるんですよ。
【この服を着て、 この真っ赤な人形を持って 〜〜に行け】 って。
一人はにかみプランですよ。 指令にどれだけ従って行っても、 相手の男性は現れない笑。」
恥ずかしくて、 こんなことやれないよ、 ってことはないのだろうか。
「絶対 やりきります。 一種の義務感です。
絶対みんなが見ていないだろう、 というところでも指令は絶対なんです笑。」
そこまで凝っていたら お金もかなりかかるんじゃないのだろうか。
「いくらかかってるとか、よく知らない笑。 かなりなあなあです。 割り勘とかもしないし。」
「ケンカはほとんどしない。 というか全く無いです。 もうケンカしつくしたのかもしれない。
けど単純に大らかなんだと思います。 シェア向きの性格だと思います。」
長い時間を共有してきた家族のような仲間。 前の同居人について話を聞くと、
「あの子はいつも私たちの面倒を見てくれていました。
夜帰ってくるのが早くて、自炊をする子だったので、仕事から疲れて帰ると、
「昨日のスープあるよ!食べる?」 とか、
ちょっと体調悪そうにしていると、 「くすりあるよ!飲む?」とか笑。
お母さんみたいな人でした。」
後から入った山田さんは、その当時のことを知らない。
嫉妬心や 寂しさを覚えたりするのではないかと 思ったが、
「わたしも あの子と一緒に住みたかったな笑。」
この言葉から ここにいる3人の絆の強さを感じた。
彼女らの間には、 変な遠慮がない。 気を遣わない。
遠すぎず。 近すぎず。 一番みんなが心地のよい距離感を保っている。
彼女らの生活から学んだのは、
家をシェアすることにマニュアルなど存在しない ということ。
みんなが心地よい環境をつくるには、 みんなが時間をかけて作り上げていく必要がある。
最後に、 彼女らに 「シェアが終わるとしたら いつだと思うか」 聞いてみた。
「この前、 契約を更新したので あと2年はこの物件は続きます。
でも、なほが たぶん来年に出て行っちゃうんです。
そしたらどうしようかな、って。 もう1人だれか呼ぶか。 2人のまま住むか。」
初めて 彼女らが見せた 寂しそうな顔。
「でも、 もしみんなが家を出なきゃいけなくなっても、
この家は残しておきたいなと思うんです。 みんなでこの家に集まって。
あ、そうだ〜〜に子供の面倒を見てもらうために いてもらおうよ。 そうしよう。」
3人+1人にとって この家は いつまで経っても 帰る場所。
そこには 家族と 思い出ある。
リビングにモノが少ない理由が 初めて分かった。
早朝にも関わらず、 きれいに掃除をしてくれて受け入れてくれた3人。
お礼のメールを書くと、 予想通り 平日 夜遅くに返信が帰ってきた。
「小さい頃から話してた「大きくなったら一緒に暮らそう」という夢物語が実現して、
一生続けることはなかなか難しい、まさに「今しかない時間」を、こうしてなんらかの形で証として残していけることは、
私たちにとっても、すごく嬉しいことだな〜と、しみじみ思いました。」
彼女たちにとって シェアとは 今を生きることだ。
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